平成21-23年度に稀少難病コケイン症候群の我が国における診療実態の把握と基礎研究および臨床研究を総合的に行い、診断、ケア、治療指針の作成を目指して厚労省研究班が組織され、そこでの成果は別記報告書に載せた通り多彩なものとなりました。本研究会ホームページが少しでもコケイン症候群や類似疾患をフォローしておられる医療関係者の方々や日夜奮闘しておられる患者ご家族の皆様のお役に立てればと願っております。
コケイン症候群とは?
概要
DNA修復遺伝子の異常により中枢および末梢神経が障害され進行性に重度の精神運動発達遅滞、腎不全、難聴、視力障害、歩行障害を呈する疾患である。これらの進行により重度の身体障害を来たし、10~20歳代で死亡することが多い。発症年令により3つの型に分類される。
原因・症状
疫学
日本においては100万出生あたり約2人、約70~100人の患者数が推定されている。
原因
DNA修復遺伝子の異常による。本疾患の線維芽細胞において最も重要な所見は、紫外線に高感受性を示すことであり、紫外線障害によるRNA合成の回復が起こらず、転写された遺伝子の損傷修復、又は"転写と共役した修復"がみられない。
症状
著名な低身長、低体重、小頭を呈し、視力障害、聴力障害、光線過敏などの皮膚症状、中枢神経および末梢神経障害の進行により重度の精神運動発達遅滞を合併する。
合併症
小頭症、低身長、低体重、白内障、網膜色素変性、難聴、日光過敏、歩行障害、手指振戦、運動失調、精神遅滞、脊椎変形、腎不全、貧血
治療・対処法
根本的治療法はないが白内障に対しては手術、難聴に対しては補聴器が奏功する場合がある。
手指振戦に対してはTRH製剤が一部の患者に効果がある。
日光過敏に対してはサングラス装着、紫外線防御クリームなどが効果がある。
腎不全に対しては腹膜透析を行う場合もある。